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  • hospital-acquired disability(HAD)

    hospital-acquired disability(HAD)

    【定義】

    <hospital-acquired disability(HAD)>

    • 入院中に新たに生じた, または悪化した機能低下
    • 入院時から退院前日までのBarthel index(BI)の5ポイント以上の減少
      =1つ以上のADLを自立して完了する能力が介助を要する状態になる

    <BI>

    • BI>70をADL自立と定義する

    図:参考文献1から引用

    【知識】

    • 入院中の高齢患者の25-50%に発症する
    • 外来治療で十分治療可能な入院患者では発症率が低い(16%程度)
    • 入院後死亡率(特に退院後1年死亡率)の強力な予後因子

    【リスク因子】

    素因高齢
    入院前からの要介護,要支援状態
    糖尿病の合併
    入院時の低Alb血症
    認知機能障害
    病院関連要因尿道カテーテル留置期間の延長(中央値3日)
    移動制限, 身体活動の低下
    せん妄
    院内感染
    退院後要因退院計画の質
    地域社会の支援

    【予防】

    • 栄養の管理
    • 早期リハビリテーション
      *血行動態などを見ながら
    • 尿道カテーテルの早期抜去

    【参考文献】

    1, 厚生労働省.令和3年度 医療施設調査・病院報告の概況. 2022年3月31日
    2, Ponikowski P, Voors AA, Anker SD, et al.
    2021 ESC Guidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure. ESC Heart Failure. 2021;8(6):1069–1150.
    3,Bozkurt B, Coats AJS, Tsutsui H, et al.
    Universal Definition and Classification of Heart Failure: A Report of the Heart Failure Society of America, Heart Failure Association of the European Society of Cardiology, Japanese Heart Failure Society, and Writing Committee of the Universal Definition of Heart Failure. Journal of Cardiac Failure. 2021;27(4):387–413.
    4, 加藤倫哲, 櫻田宏治, 高橋哲也.
    高齢心不全患者における Hospital Acquired Disability 対策としての循環器理学療法. 循環器理学療法学. 2022;1(1):24–30.
    5,Katz S, Akbar S, Boustani M, et al.
    Frailty, Cognitive Impairment, and Functional Disability in Older Adults: Implications for Clinical Practice. Journal of the American Geriatrics Society. 2022;70(12):3510–3522.

  • 心不全

    心不全

    心不全ガイドラインが2025年改訂されました。
    ガイドラインを紐解きながら心不全について記載させていただきます。

    【定義】

    ■心不全

    「心臓の構造/機能的な異常により, うっ血や心内圧上昇, およびあるいは心拍出量低下や組織低灌流をきたし, 呼吸困難, 浮腫, 倦怠感などの症状や運動耐用能低下を呈する症候群」
    *ナトリウム利尿ペプチドの上昇 or 心臓由来の肺うっ血/体うっ血の客観的所見が心不全の裏付け

    ・患者さんへ伝える場合
    「心臓が悪いために, 息切れやむくみが起こり, だんだん悪くなり, 生命を縮める病気」

    ■心不全増悪

    • 心不全治療に関わらず悪化する心不全症状や心不全徴候
    • 症状変化の有無にかかわらず臨床的他覚*所見の悪化
    • 繰り返す不整脈イベントや悪化する不整脈イベント

     *臨床的他覚
     ・症状変化のない左室駆出率の低下や心拡大
     ・BNP/NT-proBNP上昇
     ・臓器障害としての腎機能障害
     ・心内圧上昇所見
     ・明確な自覚に乏しい運動耐用能やQOLの低下

    ■非代償性心不全

    「症状・徴候や血行動態の悪化をきたし, GDMTの導入及び最適化に加えて, 治療強化が必要な状態」

    • 不安定な血行動態への対応
    • 利尿薬の大幅な増量や静脈注射が必要
    • 予定外受診や入院管理が必要

    この中で緊急の治療が必要なものを急性非代償性心不全(ADHF)と定義

    【病期分類】

    <心不全の経過>

    図:参考文献1より引用

    <ステージ(病期)分類>

    図:参考文献1より引用

    ステージ特徴
    ステージA
    心不全リスク高のみ
    心不全の危険因子*を有するが, 心不全徴候や症状なし
    ステージB
    前心不全
    心不全徴候や症状なし
    +
    ・構造的/機能的異常を伴う心疾患
     (不整脈, 壁異常など)
    ・心内圧上昇所見
     (BNP/NT-proBNP高値**, 心エコー上所見)
    ステージC
    症候性心不全
    ナトリウム利尿ペプチド(BNP/NT-proBNP**)上昇

    心臓由来の肺うっ血/体うっ血の客観的所見
    を現在または過去に認める

    新規心不全, 心不全の改善/維持/増悪でさらに分類される
    ステージD
    治療抵抗性心不全
    治療してもNYHA3度より改善しない状態

    *心不全の危険因子
    ・高血圧
    ・動脈硬化性疾患(脳梗塞や, 末梢動脈/大動脈疾患, 壁運動異常のない冠動脈疾患など)
    ・糖尿病
    ・CKD
    ・メタボリックシンドロームと肥満
    ・心毒性物質の暴露
    ・心筋症の遺伝子や家族歴を有する
    **BNP>35pg/mL, NT-proBNP>125pg/mL

    【左室駆出率(LVEF)による分類】

    ステージLVEF
    LVEFの低下した心不全
    HFrEF
    40%以下の状態
    LVEFの軽度低下した心不全
    HFmrEF
    41-49%の状態
    LVEFの保たれた心不全
    HFpEF
    50%以上の状態*
    LVEFの改善した心不全
    HFimpEF**
    初回評価で40%以下かつ経過で
    10%以上改善し40%を超えたもの

    *EF50%-70%:HFnEF, EF70%-HFsnEFと表現する試みがある
    HFsnEFは予後が悪いことが示唆されている
    **10%以上改善しても40%超えなければHFrEF

    <EF>

    • 左心室駆出率(EF)=
      1回拍出量(左室拡張末期容積-左室収縮末期容積)/左室拡張末期容積
    • 心臓の大きさに関係ない収縮能の指標
    • 正常値は55-70%

    <HFrEF>

    • 主要な原因として拡張型心筋症などの心筋症と虚血性心筋症が多い

    <HFpEF>

    • 心筋症, 心膜疾患, 弁膜症, 高心拍出心不全, 心アミロイドーシスなど特定の治療のある原因を持つことがあるため原因検索が大事!
    • ステージCの69%, ステージDの51%を占める
    • 関連のある背景因子:高齢, 高血圧, 心房細動, 冠動脈疾患, 糖尿病, 肥満など

    <HFimpEF>

    • 経時的EFの改善は予後良好因子
    • 注意:改善したから投薬が不要なわけではない!!

    【NYHA分類/INTERMACS分類/身体機能評価】

    • 身体活動能力=運動耐用能+身体機能
    運動耐用能心拍出量の増加と末梢骨格筋の酸素利用能
    身体機能末梢骨格筋を用いた運動能力
    • NIHA心機能分類は症状の出現する具体的な運動強度や身体活動をMETsの換算表で評価する

    METs:安静時の何倍エネルギーを使うか
    ex)平地の歩行を1時間=3METs・時

    図:参考文献1から引用

    <INTERMACS分類>

    ・NYHAⅢ-Ⅳの重症心不全患者の詳細な重症度判定

    図:参考文献5から引用

    <運動耐用能>

    ・6分間歩行:242m以下が予後不良因子

    <身体機能>

    ・SPPB:4点未満は自宅退院困難, 7点未満は退院後イベントリスク高い

    図:参考文献4から引用

    【原因疾患】

    図:参考文献1から引用

    • 1位:虚血性 次点:弁膜症, 不整脈, 高血圧, 心筋症
    • 合併症として糖尿病, 心房細動, 慢性腎不全が多い

    【右心不全】

    前方障害による症状低灌流による全身倦怠感や運動耐容能の低下
    後方障害による症状体うっ血による四肢の浮腫,
    腹部膨満感/早期満腹感, 食欲低下
    徴候頚静脈圧の上昇, 腹水および肝腫大, 胸水貯留,
    著名なS2・右側S3ギャロップ,
    下部胸骨左縁での全収縮期雑音
    (三尖弁閉鎖不全症による)
    • 右室は後負荷の影響を受けやすい
      →原因として左心不全に伴う肺高血圧症が多い
    機序原因
    後負荷の増大左心不全に伴う肺高血圧症
    PE
    肺動脈性肺高血圧症
    慢性肺疾患
    急性肺障害/ARDS
    SAS/肥満低換気症候群
    人工呼吸
    右室流出路狭窄, 右室二腔症
    収縮機能の低下右室梗塞
    SIRSに伴う右室障害
    心筋炎/心筋症
    Ebstein奇形
    前負荷の異常心タンポナーデ
    左右シャント
    三尖弁閉鎖不全, 肺動脈弁閉鎖不全
    カルチノイド症候群
    心膜疾患心タンポナーデ
    収縮性心筋炎
    調律の異常徐脈性不整脈
    頻脈性不整脈

    【診断】

    <問診>

    • 症状
      ・初期は労作時息切れのみが多い
      ・Bendopnea:前屈30秒させ, 息苦しさがでるか評価する
             左房圧上昇による
             →靴ひもを結ぶときに苦しくならないか聞く
    • 既往歴(冠動脈疾患, 高血圧, 糖尿病, 心房細動, 化学療法歴など)
    • 家族歴(遺伝性疾患の有無)
    • 生活歴:水分/塩分摂取過多の有無, 怠薬や過活動

    図:参考文献1から引用

    <身体所見>

    • 左房圧評価
      聴診:左房圧上昇の反映であるⅢ音やⅣ音を確認
      *特にⅢ音は特異度が高い
    • 右房圧評価
      頚静脈怒張:経時的変化を見てうっ血をコントロールする指標になる
      Kussmaul徴候:吸気時に頸動脈が怒張し, 呼気時に低下する
      肝頚静脈逆流:肝臓下正中寄りを圧迫すると頚静脈が怒張する
    https://youtube.com/watch?v=PmmN1vrsIRk%3Fsi%3D1_K-2bqLAiKeu9JU

    出典:André Mansoor YouTube公式

    https://youtube.com/watch?v=JxyECMTEmmc%3Fsi%3DEaIqy0tIei5tyWIj

    出典:AMBOSS: Medical Knowledge Distilled YouTube公式

    • 低拍出による組織灌流低下
      末梢冷感
      脈圧狭小
      Cheyne-Stokes呼吸:浅い呼吸から深い呼吸になり, 再び浅い呼吸になり無呼吸に至るを繰り返す
      *低拍出による循環時間の延長により中枢へのフィードバックが遅くなることが主因
    https://youtube.com/watch?v=VkuxP7iChYY%3Fsi%3DjZ3ew1ilASiCR_le

    出典: semiologiaclinicas YouTube公式

    • 原因推定
      聴診:弁膜症
      手根管症候群や巨舌など:アミロイドーシス
      視力障害, 皮膚結節など:サルコイドーシス
      四肢末梢痛, 低汗症など:ファブリー病
      その他膠原病など

    <血液検査BNP/NT-proBNP>

    • BNPとは左室への伸展刺激によって, 心室から合成, 分泌される
    • うっ血の早期発見やうっ血の治療強化目的に測定する
    • NT-proBNPはBNPの前駆体が分解されて生じるホルモン
      1:1の割合でBNPとともに血中に放出される
    特徴BNPNT-proBNP
    半減期20分と短い120分と長い
    腎機能の影響受けにくい受けやすい
    腎機能低下で上昇*
    検体EDTA血漿血清

    *eGFR 30mL/分/1.73m2未満では特に上昇する

    • カットオフ値:BNP 35pg/mL, NT-proBNP 125pg/mL
    • 陰性的中率が高い(94-98%)ため, 除外に有用

    図:参考文献1より引用

    <胸部Xp>

    • 肺炎などの呼吸器疾患との鑑別が重要
    • 肺うっ血所見を確認する
      *重力の関係で下肺は正常でも認める→上肺の血管拡張が重要
    • 心胸郭比が大きいと予後不良

    図:参考文献1から引用

    <心臓超音波検査>

    ・患者の状態変化や治療開始時期や6か月後(リモデリングが現れる)に行うのがよい


    1,機能評価

    1-1, 左室収縮能の評価:左室駆出率で評価
    1-2,左室拡張能(Diastolic function)の評価
     ・HFrEFでは予後因子,HFpEFでは診断の中核
     ・e’は左室弛緩を示す指標(拡張能を示す基本)
     *正常値は年齢により違う!!
     ・E/A:左室弛緩/左房圧
     →拡張障害/収縮障害がある場合は左房圧の指標として有用
     ・三尖弁逆流最大速度:肺動脈弁狭窄症のない場合に収縮期肺動脈圧を反映
     =左房圧上昇による二次性肺高血圧症を呈する時に左房圧を間接的に反映

    図:参考文献2から引用

    図:参考文献3から改変

    1-3,右室機能
     ・重要な予後因子だが、しっかりした評価基準がない
     ・TAPSE(三尖弁輪収縮期移動距離)は簡易的な指標
      *17mm未満は右室収縮機能障害を示唆

    1-4, 心房機能
     ・HFpEFと非心原性息切れの鑑別に有用な可能性
      *LA reservoir strainが29%以下はHFpEFを疑う
     ・左室機能障害の初期に起こる変化

    2,血行動態の評価

    2-1, 心拍出量

    2-2, 心房細動
     ・測定が難しい.
      →RR間隔が前拍, 前々拍で一定の時に測定するのが有用

    <CT>

    心不全の診断に重要
    ・心拡大
    ・両側性の間質肥厚
    ・両側性胸水
    ・血管径拡大
    ・両側性のすりガラス影

    図:参考文献1から引用

    <MIBG心筋シンチ>

    • 心臓交感神経活性の評価
    • 左室機能の低下, 交感神経活性の亢進に一致して, MIBGのWRが上昇, H/M低下を認める
    • 重症度評価や予後予測に有用

    【予防】

    図:参考文献1から引用

    1, 発症予防(ステージA)
    ・心不全危険因子(高血圧, 糖尿病, CKD, 肥満など)の管理
     <疾患>
     ・高血圧:130/80mmHg以下の管理
     *サイアザイド利尿薬は特に有用
     ・CKD+2型DM:SGLT2阻害薬, GLP-1受容体作動薬を推奨
     <生活>
     ・運動:500-1000METs・分/週以上が理想
     ・食事:野菜中心とした生活
        減塩
        20-30kcal/kg/日,
         タンパク質:1.1g/kg/日以上推奨
        *高齢者は1.2-1.5g/kg/日推奨
     ・禁煙
     ・節酒
    ・構造的/機能的心疾患の発症フォロー=BNPフォロー
     →上昇あればRAS阻害薬やβ遮断薬を積極的に使用!

    2,前心不全(ステージB)
    ・ACE阻害薬, ARB, β遮断薬を積極的に導入する
    *左室駆出率が保たれている場合はエビデンスが乏しい

    【治療】

    図:参考文献1より引用

    <HFrEF>

    • ACE-I/ARB/ARNI, β遮断薬, MRA, SGLT2阻害薬の4剤を併用する
      *許される範囲で用量を増量する
      **筆者は将来的にARNIに切り替えることを想定し, ARBを使う
    • LVEF40%以下で血行動態が安定した際のNYHA分類Ⅱ-Ⅲ患者の第一選択薬はARNIを推奨する
    • β遮断薬は全例入れたい!
      *HR<60拍/分を目標にする(AF非合併例)
      →最大容量でも達成できない場合イバブラジンを使う!
      **COPD合併例ではβ1選択制の高いビソプロロールが優先
    • MRAは軽症から重症まで有効性が示されている
      *高K血症やeGFR<30mL/分/1.73m2では慎重投与
    • SGLT2阻害薬は心不全なら全例
      *フレイル合併でも有用
    • 非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は禁忌

    <HFpEF>

    • SGLT2阻害薬が主役!!
    • 左室駆出率55-60%まではARNI, ARB, MRAを考慮しても良い
      *ARNIは心血管死や入院イベントを改善させたエビデンスがある(ARBを代替として用いても良い)
      **MRAは非ステロイド型(フィネレノン)はリスク低減のエビデンスがある
    • 併存疾患の検索と治療が重要(併存疾患が多いことが特徴)
      ・高血圧
      ・心房細動
      ・冠動脈疾患
      ・糖尿病
      ・慢性腎臓病
      ・貧血
      ・睡眠時無呼吸症候群
    • 肥満(BMI≧30kg/m2)のHFpEFではセマグルチド(GLP-1)を積極的に使用する

    <HFmrEF>

    • 症候性HFmrEFにはSGLT2阻害薬, ARNIは全例に考慮

    <HFimpEF>

    • HFrEFの治療薬を継続する
      *構造異常は完全に正常化していないため

    <右心不全>

    • 体うっ血に対して利尿薬を使用する
      ・基本ループ利尿薬
      *アゾセミドの方がフロセミドより入院件数が少なかった
      **ループ利尿薬単剤使用は予後不良! 
      ・ループ利尿薬で反応なければバソプレシンV2受容体拮抗薬
      *長期予後は変わらなかった

    <ADHF(急性非代償性心不全)>

    図:参考文献1から引用

    図:参考文献1から引用

    • うっ血がない血圧低下→補液
      うっ血のある血圧低下→ノルアドレナリンで昇圧+ドブタミンで心拍出量↑/組織灌流の改善を試みる
    • うっ血
      評価:
       ・起坐呼吸や頚静脈怒張
       ・心エコー:下大静脈径の拡大, 呼吸性変動の消失, 肝静脈の拡張
      管理
       ・ループ利尿薬の静注
        →1時間の反応尿を確認
        →十分な量が得られれば同量を2-3回/日で至適体液量まで継続
        →維持量の内服に切り替える
       ・肺うっ血:NPPV
       ・うっ血症状に血管拡張薬を考慮
        *血圧が保たれている場合のみ
        **ニコランジルが降圧が過度でなく使いやすい
      利尿薬抵抗性(ループ利尿薬初回用量の2-4倍使用しても尿量少ない)
       ・原因:低心拍出, 低血圧, 貧血, 感染, 低Alb/Na血症など
       ・対応:ループ利尿薬増量*→バソプレシンV2受容体拮抗薬
          *低K血症に注意

    図:参考文献1から引用

    • 頻脈
      AF合併の頻脈の時のみコントロールするメリットがある
      →ランジオロールなどで介入
    • 血液ガス:呼吸不全精査
      酸素投与してもRR>25回/分, SpO2<90%の場合
      →NPPV
      →気管挿管
    • Lac:組織低灌流の評価

    <心房細動>

    • 心不全に合併しやすく, 悪化させやすい
    • rateコントロール
      ・rhythmコントロールより優先
      ・ランジオロール静注から始める
       →無効の場合ジゴキシンを考慮
        *血中濃度測定忘れずに
    • rhythmコントロール
      ・rateコントロール困難や洞調律維持が血行動態や心不全管理に有益の場合に行う
      *rateコントロールのみで症状改善しない場合, 若年者や運動耐用能が高い患者など
      ・心機能低下例ではアミオダロンが1st

    図:参考文献1から引用

    • 抗凝固薬
      ・CHADS2スコア1点以上でDOAC推奨

    <併存疾患>

    • 高血圧:降圧薬を行う
    • CKD:とにかくSGLT2阻害薬
      *eGFR20mL/分/1.73m2以上に限る
      ・HFrEF患者ではMRA, ARNI, β遮断薬を投与
    • 貧血:鉄欠乏性貧血の精査
        →鉄材補充
    • 高カリウム血症
      ・K5.0-5.4mEq/L:カリウム吸着薬を考慮
      ・K5.5-6.6mEq/L:カリウム吸着薬を考慮+RAAS阻害薬減量を考慮
      ・K6.5-mEq/L:緊急治療
    • 低ナトリウム血症
      ・原因:RAAS系の亢進, バソプレシン分泌亢進による水利尿不全による希釈性, 薬剤性
      ・トルバプタンを考慮
    • 糖尿病:SGLT2阻害薬導入.その後糖尿病治療薬を増量していく
    • COPD/喘息:β遮断薬, ACE阻害薬/ARBを投与

    <重症高血圧症による急性心不全>

    • 早期降圧が必要
      →硝酸イソソルビドが早期に血圧を下げた

    <埋め込み型心臓電気デバイス治療(ICD)>

    • 適応:可逆的要因がなく, 血行動態の破綻をきたした持続性VT/VF, 心停止からの蘇生後

    <心臓再同期療法>

    • 心室の同期障害(左右心室の伝わるタイムラグがあり, 均等に心室が収縮しない)に対してペースメーカーで電気信号の順序を整えることでポンプ機能を補助する治療

    図:参考文献1より引用
    ClassⅠは推奨, Ⅱa,bは考慮してもよい

    【追加知識】

    <妊婦>

    • ACE阻害薬, ARB, ARNI, SGLT2阻害薬, イバブラジンは禁忌
    • β遮断薬は胎児発育不全や新生児低血糖を惹起するため慎重投与
    • 妊娠中はMRAくらい
      増悪時にループ利尿薬やhANPで治療をする

    <肥大型心筋症>

    • 定義:(1)左室ないしは右室心筋の肥大と(2)心肥大に基づく左室拡張能低下を特徴とする疾患群

    図:参考文献1より引用

    • 2次性心筋症
      ・ALアミロイドーシス:M蛋白, アミロイドPET
      *M蛋白陽性が診断基準の一つ
      ・ファブリー病:酵素活性測定
      ・ミトコンドリア病:乳酸, ピルビン酸, カルニチンなどの測定
    • 治療:まずβ遮断薬

    <心アミロイドーシス>

    • 病態:心臓の間質にアミロイド線維が沈着する
    • red-flag所見
      ・手根管症候群/脊柱管狭窄症の既往
      ・心電図:低電位, 前胸部誘導R波増高不良
      ・心エコー:左室肥大, ASなど
    • 検査:M蛋白(血液, 尿), アミロイドPET

    <心臓サルコイドーシス>

    • 臨床像:左室機能障害による心不全, AVB, 致死性心室性不整脈
    • 神経所見
      ・中枢神経
       ・実質内肉芽腫性病変
       ・髄膜炎
       ・水頭症
       ・白質脳症
      ・末梢神経障害
    • 特異的な検査所見
      ・両側肺門リンパ節腫脹
      ・血清ACE, リゾチーム高値
      ・siL-2R高値
      ・PETによる集簇
      ・BAL検査でのリンパ球比率上昇, CD4/CD8>3.5

    【参考文献】

    1,日本循環器学会,日本心不全学会.急性・慢性心不全診療ガイドライン(2025年改訂版)
    2,Nagueh SF, Smiseth OA, Appleton CP, et al. Recommendations for the Evaluation of Left Ventricular Diastolic Function by Echocardiography: An Update from the American Society of Echocardiography and the European Association of Cardiovascular Imaging. J Am Soc Echocardiogr 2016; 29: 277-314. PMID: 27037982
    3,Makani H, Bangalore S, Romero J, Waheed A, Usman MS, Sosland R, et al. Calcium channel blocker–related peripheral edema: Can it be resolved? Am J Med. 2017 Jul;130(7):747–753. doi:10.1016/j.amjmed.2017.03.045. PMID: 28408024.
    4,Yamada N. Short Physical Performance Battery (SPPB): ICC, mortality, discharge. Yamanopt Blog. Available from: https://yamanopt.com/short-physical-performance-battery-icc-mortality-discharge/ [Accessed 22 Nov 2025].
    5,東栄医用株式会社. INTERMACS/J-MACS profiles. Cardio Terms – Test, Exam, Diagnosis. Available from: https://med.toaeiyo.co.jp/contents/cardio-terms/test-exam-diagnosis/images/4-95intermacs-j-macs-profiles.png [Accessed 22 Nov 2025].

  • 喘息

    喘息

    【病態】

    図:参考文献1より引用 一部改変

    <2型炎症>:Th2やILC2(2型自然リンパ球)が関与する喘息

    1,吸入感作アレルゲンをマクロファージ, 樹状細胞などの抗原提示細胞が貪食
    →IL-4などの作用により抗原に特異的な受容体を持つTh2細胞に分化
    →Th2細胞がIL-4,5,9,13などを産生

    ・IL-4,13:
     ・B細胞のクラススイッチを誘導し, IgE産生を促進
     →IgEは肥満細胞や好塩基球の表面のFcεRIに結合し, 脱顆粒を促す
     →ヒスタミンやロイコトリエンなどの炎症性メディエーターを放出し, 即時型アレルギー反応を起こす
     ・気道上皮に作用するとSTAT6を介してL-アルギニンから一酸化窒素が合成される
     →呼気中にNOが放出される

    ・IL-5:好酸球の活性化や生存を延長する

    ・IL-13:気道上皮の杯細胞化生, 粘液産生亢進や平滑筋収縮, 気道のリモデリングを促進する

    2,環境要因(感染や大気汚染など)により気道上皮細胞からIL-33, TSLP, IL-25などの上皮由来のサイトカインが産生
    →ILC2が活性化し, IL-5, 13を産生させ気道炎症を惹起する

    <T2-low喘息>:好中球性と好酸球性の関与が言われている

    1,気道上皮にIL-17が作用する+エンドトキシンなどの刺激でIL-8が産生される
    →IL-8は好中球を誘導する

    【知識】

    • 2型サイトカインの関与がある喘息をT2-high喘息と呼ぶ
      *2型サイトカインの関与が乏しいと考えられる喘息をT2-low喘息と呼ぶ
    • T2-high喘息が半数以上
    • T2-low喘息は10-20%存在し, ステロイド反応性が悪く治療に難渋しやすい

    【難治化要因】

    <上気道の好酸球性炎症>

    上気道, 下気道は解剖学的に連続性であり, 中耳は鼻粘膜や気道と同じ組織学的に多列繊毛上皮である。

    →アレルギー性鼻炎, 好酸球性副鼻腔炎, 好酸球性中耳炎の合併は重症化の要因になる

    1, アレルギー性鼻炎

    ・小児期にアレルギー性鼻炎があると喘息の発症率は3倍

    ・合併患者は発作回数が多くコントロール不良になりやすい

    *特に花粉の飛散時期は増悪しやすい

    2, 好酸球性副鼻腔炎

    ・慢性副鼻腔炎は喘息増悪のリスク因子

    ・非好酸球性副鼻腔炎と比較して嗅覚障害が強く, 篩骨洞優位

    3, 好酸球性中耳炎

    ・喘息や副鼻腔炎に先行して発症する

    ・ニカワ状の耳漏が特徴

    ・末梢好酸球数が高く, 気道壁の肥厚を認め, 1秒率の低下がみられやすい

    <肥満>

    ・喘息の増悪因子であり, ICSの治療反応性も低い

    →抗ロイコトリエン薬や抗コリン薬を併用する

    ・腹腔内の脂肪沈着による横隔膜挙上や慢性炎症, 身体活動の低下などが原因

    最近, 気道上皮のTSLP, IL33の発現亢進があり, 喘息悪化の一助として考えられている

    <気道分泌亢進>

    ・IL-13による杯細胞の過形成によるムチン産生増加

    +IL-5による好酸球性気道炎症による好酸球ペルオキシダーゼの放出→ムチン産生亢進

    →粘液栓痙性

    ・大量の粘調性痰が末梢気道を閉塞させ窒息し, 喘息死に至る症例がある

    ・持続性の粘調性痰は気流制限をすることが多く, 増悪回数が多かった

    ・末梢血好酸球数が高く, FeNOの上昇が著名

    ・粘液スコアで評価する

    図:参考文献2より引用

    ・抗IL-4受容体α抗体のDupilumabの投与で粘液栓が減少した報告あり
     *抗IL-5受容体α抗体や抗TSLP抗体でも改善の報告あり

    【検査】

    <血液検査>

    ・好酸球数

    高値の喘息では重症度が高く, コントロール不良のリスクが上がる

    300/μL以上では増悪のリスクが高い

    重症喘息において, 末梢好酸球数が高いとIL-5を標的とした生物製剤が有用の可能性がある

    ・血中IgE

    アトピー性喘息の指標

    アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎を合併していると高値になる

    <呼気中一酸化窒素濃度測定(FeNO)>

    T2-high喘息の指標

    ICS未治療患者

    22bbp以上37bbp以上
    喘息の可能性を考慮喘息の可能性が高い

    呼吸機能改善によりFeNOは低下する

    *アレルギー性鼻炎やウイルスでは上昇する

    <ピークフローメーター>

    最大風速を測定できる

    在宅などでの喘息コントロールの指標に良い

    *市販で購入できる

    日内変動を20%以内にすることを目指す

    【治療】

    <治療目標>

    ・ACT(喘息コントロールテスト)で23点以上を目指す

     ・4週間以内に喘息があった/息切れした/早起きした/吸入を使った/コントロールできたかの自覚
      を5段階で評価

    ・ピークフローメーターで日内変動20%以内

    <慢性管理>

    1, 中用量ICS/LABAを開始する

    2, コントロール状態を評価してstepを検討する

    図:参考文献3より引用

    図:参考文献7より引用

    図:参考文献4より引用

    図:参考文献5より引用

    図:参考文献5より引用

    *経口ステロイドは1mgからスタート, 5mg以下を目指す 最大10mg(それ以上の場合は生物学的製剤を考慮)

    ・ICS:

    抗炎症薬

    副作用:口腔, 咽頭カンジダ症や嗄声

    妊婦にも使用可能

    ・LTRA:

    気管支拡張作用と抗炎症作用を有する

    ・抗コリン薬:

    喘息の気道では迷走神経過緊張状態

    →アセチルコリンによる気道収縮や粘液分泌を抑えることで治療につながる

    ・生物学的製剤

    経口/経静脈ステロイドを年に2回以上使用する場合導入を検討する

    抗IgE抗体抗IL-5抗体抗IL-5Rα抗体抗IL-4Rα抗体抗TSLP抗体
    一般名オマリズマブメポリズマブベンラリズマブデュピルマブテゼペルマブ
    適応年齢6歳以上6歳以上15歳以上12歳以上12歳以上
    対象アトピー型重症喘息で, 血清IgE30-1500IU/mL重症喘息で血中好酸球150/μL以上重症喘息で血中好酸球150/μL以上or
    過去12カ月間に300/μL以上
    重症喘息で血中好酸球150/μL以上or
    FeNO25bbp以上, 血清IgE167IU/mL以上
    重症喘息
    増悪抑制効果
    ステロイド減量
    呼吸機能改善
    併存症への適応特発性慢性蕁麻疹, 季節性アレルギー性鼻炎好酸球性多発血管炎性肉芽腫アトピー性皮膚炎, 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎
    自己注射

    図:参考文献5より引用

    【参考文献】

    1, 一般社団法人日本アレルギー学会喘息専門部会慣習:喘息予防・管理ガイドライン2024, 協和企画, 東京, 2024.
    2, 金子 猛. 中枢気道粘液栓/粘液スコア. 総合診療. 2025;35(2):147–148. doi:10.11477/mf.218880510350020147
    3, 日経メディカル. 「個別化治療盛り込んだ「喘息診療実践ガイドライン2024」のポイントは?」. 日経メディカル [Internet]. 2024年7月. Available from:https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/202407/585222.html
    4, 横浜労災病院 地域連携室. 吸入薬選定表. 横浜労災病院. [Internet]. [cited 2025 Nov 20]. Available from:chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://yokohamah.johas.go.jp/data/media/yokohama_rosai_medical/page/file/community/pahrmacy/drug14.pdf
    5, 以下の形式で参考文献に記載できます。

    日本医師会. 成人気管支喘息診療のミニマムエッセンス. 日本医師会 [Internet]. [cited 2025 Nov 20]. Available from:chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.med.or.jp/dl-med/chiiki/allergy/bronchial_asthma.pdf
    6, 厚生労働科学研究成果データベース. 平成11年度 総括・分担研究報告書(200001112A0015). [Internet]. [cited 2025 Nov 20]. Available from:Chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2000/000156/200001112A/200001112A0015.pdf
    7, 金津クリニック. ぜんそく・COPD治療薬の解説. 金津クリニック [Internet]. [cited 2025 Nov 20]. Available fromhttps://kanadzu-cl.com/%E3%81%9C%E3%82%93%E3%81%9D%E3%81%8F%E3%83%BBcopd%E6%B2%BB%E7%99%82%E8%96%AC

  • FND 機能性神経障害

    FND 機能性神経障害

    【概念】

    神経症状が他のいかなる疾患でも説明できない状態のことを指す。
    注意点としては意図的に神経症状を呈しているわけではない

    【歴史】

    ・[ヒステリー]という用語は紀元前5世紀ごろに子宮を意味するギリシャ語からヒポクラテスが命名した
    *女性の様々な身体的・精神的な症状の原因を、子宮が体内でさまようことだと考えていたため

    ・Babinskiは, 器質性麻痺とヒステリー性麻痺を鑑別するためにBabinski徴候を見出した

    【知識】

    ・様々な検査やdoctor shoppingを繰り返すと, 症状が固定し, 難治例になる可能性もある

    ・女性に多い

    ・左側に多い

    【症状】

    <運動麻痺>

    ・身体イメージにある運動の総体が麻痺する

    (股関節外転なら外転ができなくなる)

    つまり, 協働運動全体の障害が起こる
    *関節運動の際, 主働筋以外に様々な協働筋が動いでいる
    **構造性の障害では一部の筋のみの障害が普通に起こる
    外転など動きは他の筋肉を使い大なり小なりできる

    ・Give-way weakness:一瞬力が入り, その後カクカクと力が抜ける
    *Guillan-Barre症候群やCIDPでも起こりうる
    **痛みを伴う際も起こる→痛みが伴っているか確認する

    機能性構造性
    筋分布の特徴上肢では指の屈筋
    (握力低下などのわかりやすい)
    や手関節屈曲の麻痺が目立つ
    上肢では屈筋,
    下肢では抗重力筋(伸筋)
    が比較的保たれる傾向
    抗重力筋の障害障害されやすい
    (例:大殿筋, 大腿四頭筋など)
    障害されにくい
    (特に大殿筋は筋ジストロフィー以外では保たれる)
    努力の様子顔をしかめる、声を出すなど「力を入れている」演技的な強調力を入れる様子は自然で、過剰な演技は見られない
    拮抗筋・近位筋の動員拮抗筋や離れた近位の筋肉に不必要なほど力を入れる障害筋に対する代償動作はあるが、過剰ではない
    筋力の変動性突発的で持続できず, 力が変動する筋力は一貫して低下し, 持続的に障害される
    症状の時間的変化日によって変動し, 不連続に回復する徐々に進行または安定して持続する
    日常動作への影響麻痺筋を使う動作が障害されず、怪我しない
    (例:転倒しない)
    麻痺に応じた日常動作の障害や転倒リスクがある
    検査所見との一致神経学的検査と症状が一致しないことが多い検査所見と症状が一致しやすい

    【診察】

    • 腱反射正常
      *随意的筋緊張抑制などで抑制されたり, 亢進されることもある
      **亢進している時は正常の潜時と違い, 少し遅れ, 誇張されたように起こることが多い
    • Babinski徴候陰性:絶対条件

    <顔面の障害>

    • 広頸筋徴候:口をへの字型にした際, 頸部の表層の広頸筋が構造性であれば浮き出てこない
      *広頸筋は顔面神経支配
    • 片側麻痺でも口笛はふける
    • 舌の片麻痺対側への偏倚
      *構造性は片麻痺側へ偏倚
    • 胸鎖乳突筋の機能性麻痺:障害と同側への回旋が障害される
      *胸鎖乳突筋は両側性のため,機能性では通常障害されない

    <上肢運動麻痺>

    • 腕落下試験で顔を打たない
      *低血糖性で機能性と同じことがあったという報告もあるため注意
    • 上肢バレー試験:回内を伴わない下降
    • 逆説的手関節屈曲:MMTを手掌面上向き(WFfl)と手掌面下向き(WFex)で行い比較する
      *WFflの方がWFexに比べると,筋長が短い(手首に腱が近い)ので収縮力は大きく,また回転半径も大きいので,生成されるモーメントはWFflの方がWFexよりも必ず大きい.
      →機能性ではWFexではbreakされず, WFflではbreakされる(構造性と逆)
      *診察時はWFflをやり, 他のMMTを挟んで最後にWFexをやると出やすい

    図:参考文献3から引用

    • Supine catch sign(回外捕球徴候):下垂手/回外させると手は反対側に下垂する+指も進展する
      *橈骨神経麻痺では回外しても下垂しない/中間位くらい
    • 両側握力測定:両手で同時に握力を出してもらう(手を握ってっもらう形)
      →機能性:両側同時では健側も弱くなる
      *「麻痺している側に力を入れられない演技/思い込み」を両手の動作に拡張してしまうためと考えられる
      **片方ずつやってから同時に行わせるとわかりやすい
    • Abduction finger sign:健側の指を外転位で維持させる(2分ほど)
       健常/機能性:対側(患側)が外転してくる
       構造性:外転しない

    図:参考文献5から引用

    健側手(2)で抵抗に抗して指を外転させた状態をしばらく(原著では2分)維持すると、麻痺側手(1)で不随意な指外転共同運動が認められる

    <下肢運動麻痺>

    図:参考文献3から引用

    • Sonoo外転試験:下肢の外転(中殿筋)では股関節の外転側への回転が生じるため, 対側の中殿筋が収縮しバランスをとる
      →機能性:患側外転時, 対側も弱くなる
       健側外転時, 正常に働く

    図:参考文献3から引用

      ●:拮抗できている

    • 大殿筋のMMT低下:下肢伸展位でベッドに押し付ける
      *腸腰筋低下, 大殿筋正常は構造性に特異度100%!!
    • Raimiste(レイミスト)徴候:健側股関節の内転や外転時に抵抗を加えると対側(麻痺側)がそれに伴って内転, 外転する
      *片麻痺の回復期でも起こりうるため注意
    • Strümpell の前脛骨筋現象:下肢を屈曲させようとした際, TAに収縮が入るが, 機能性では起こらない
      *TA:腓骨神経支配/L4-S1 大腿四頭筋:大腿神経/L2-4

    <歩行障害>

    • 麻痺肢を引きずるように歩く
    • 心因性のRomberg徴候:大きく揺れるが倒れない
    • 転倒を伴わない突然の膝折れ

    <不随意運動>

    • 気をそらすと消失
      *指タップや計算, 病歴聴取など
    • 振戦同調試験:健側で真似ると振戦が一過性に消失したり, rhythmが変化する
    • 他者が静止させようとすると震えがひどくなる

    <感覚障害>

    図:参考文献10 から引用

    • Yes/No test:閉眼し, 麻痺側を触る, 分からなかったら分からないというよう伝える
      →機能性:触った際[分からない]という
       構造性:触っても分からないため、何も言わない

    <視覚障害>

    • 円筒性視野狭窄:人一人分しか視野がないと脳内で決定される

    図:参考文献3から引用

    • らせん状視野狭窄

    【検査】

    • 神経伝導検査:CMAP正常, F波正常
    • 筋電図:弱収縮での動員パターン正常で, 発火頻度が上昇しない賦活不良を呈する→中枢性筋力低下

    <盲>

    • VEP(視覚誘発電位)

    <感覚障害>

    • 体性感覚誘発電位

    【診断】

    • 除外診断ではなく, 症候から積極的に診断をする!
    • 神経学的に説明できない存在が必要
    • 心理的要因の特定は診断の助けにはなるが必須ではない

    【治療(介入方法)】

    • 診断名, 必ず回復することを伝える
    • 座位でHoover徴候を行い, 実際に健側を挙上時に患側に力が入っていることを認知させる

    そのため筆者は

    今回、診察や検査をして構造的な異常はありませんでした。ですが、実際に「神経症状」を認めています。これを機能性神経障害といいます。
    これは、車でいう道路はしっかり舗装されていますが車が走っていない状態のようなものです。
    なぜこのようなことが起こるかは詳しくは解明されていませんが今脳のそこの神経のスイッチをオンにすることができない状態です。
    ですがこれは命にかかわるものであったり、今後症状が悪くなったりはしません。時間経過で必ず回復します。

    とお伝えするようにしています。
    ICの際にお役に立てれば幸いです。

    【参考文献】

    1. 橋本圭司ほか.FND(機能性神経障害)における脊椎・脊髄・神経筋の神経症候学の基本.
    2. 日本臨床神経生理学会誌.「10.18937/09144412_33_3_mf.5002201326」.第33巻第3号,2022年.
    3. 園生雅弘.精神科との境界領域について:機能性神経障害を中心に.臨床神経学.2023;63(増刊号):S123–S128
    4. 園生雅弘.心因性疾患(変換症/転換性障害;ヒステリー)の現在―ヒステリー性筋力低下(機能性筋力低下)の診断.臨床神経学.2023;63(増刊号):S129–S134.
    5. Sonoo M. The Abduction Finger Sign: After keeping finger abduction with the sound hand. In: Sonoo M, ed. Clinical Neurophysiology of Functional Movement Disorders. ResearchGate. 図3. https://www.researchgate.net/figure/The-Abduction-Finger-sign-After-keeping-fi-nger-abduction-with-the-sound-hand-2_fig3_261032919 (参照日:2025年11月19日)
    6. 機能性運動障害・感覚障害・神経障害診療ハンドブック.脳神経内科領域における診断と治療の実際.
    7. Edwards MJ, et al. Functional neurological disorder: new subtypes and shared mechanisms. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2019;90(Suppl 2):A5.2.
    8. 藤原俊之ほか.機能性神経障害の診断と治療:臨床神経学の新展開.臨床神経学. 63巻3号,2023年.
    9. 日本神経学会.機能性神経障害に関するガイドライン.脳神経学雑誌. 第63巻第3号,2023年.
    10. 医学ことはじめ. 心因性と器質性疾患の鑑別. 2021年7月8日. https://igakukotohajime.com/2021/07/08/心因性と器質性疾患の鑑別/
  • ヘパリン

    ヘパリン

    【機序】

    <凝固系>

    ・アンチトロンビン(以下AT)はⅩa因子, トロンビンを阻害し抗凝固活性を発揮する.

    引用:全国血液センター協議会. 血液用語事典「血漿分画製剤」. http://www.ketsukyo.or.jp/glossary/ka05.html(2025年11月8日アクセス

    ・ヘパリンはアンチトロンビンに結合することで, アンチトロンビンの抗凝固活性を数千倍に高める
    →Ⅹa因子阻害作用:ヘパリンがATに結合するのみで作用発現
     トロンビン阻害作用:トロンビンとAT双方にヘパリンが結合する必要がある

    Hirsh J, Warkentin TE, Raschke R, et al. Heparin and low-molecular-weight heparin: mechanisms of action, pharmacokinetics, dosing, monitoring, efficacy, and safety. Chest. 1998;114(5 Suppl):489S–510S.
    図2「Catalysis of antithrombin-mediated inactivation of thrombin or factor Xa by UFH or LMWH」より引用。ResearchGateより取得。
    https://www.researchgate.net/figure/Catalysis-of-antithrombin-mediated-inactivation-of-thrombin-or-factor-Xa-by-UFH-or-LMWH_fig2_40453331

    <その他作用>

    【種類】

    <未分画ヘパリン>

    • 分子量5000-20000のムコ多糖
    • 半減期:45-60分

    <低分子ヘパリン>

    • 分子量4000-6000と未分画ヘパリンに比べ小さい
      →トロンビンまで囲えないため, Ⅹa因子阻害のみ行う
    • プロタミンで最大60%程度しか回復しない
    • 半減期:2-4時間と未分画ヘパリンより長い
      *抗Ⅹa作用は投与後12時間でも持続する

    <ダナパロイド>

    • 低分子量(平均6000)のへパラン硫酸を主成分
    • DICの本邦では適応
      *海外ではヘパリン起因性血小板減少症発生時の代替薬としても使用
    • 抗第Ⅹa因子/トロンビン活性比が約20:1と非常に高い
    • 半減期20時間と長い

    <フォンダパリヌクス>

    • 未分画ヘパリンの最小有効単位であるAT結合部位を化学合成した抗凝固薬
      →第Ⅹa因子阻害作用のみ増強
    • 投与後約2時間で最高血中濃度に達する

    【管理】

    • APTT1.5-2倍で管理をする
    • APTTを1.5倍に延長するために35000単位/日以上を要するものをヘパリン抵抗性と判断する
      原因:CRP, 血漿タンパク, 抗ヒスタミン薬などによるヘパリンの中和やATの低下

    【HIT】

    <機序>

    引用:日本血栓止血学会. 血栓止血分野の最新トピックス:プロコアグラント活性に富むマイクロパーティクル. お役立ちシリーズ. 2022年8月号(第19回)

    • ヘパリンとPF4の多分子複合体を認識するIgGクラスの血小板活性化抗体(抗PF4/ヘパリン複合体抗体:HIT抗体)の一過性産生が原因
    • PF4:血小板α顆粒中に存在し, 血小板が活性化されると放出され, 血管内皮細胞表面でアンチトロンビンに置換されることで局所的に血栓傾向を促進する.
    • ヘパリンは血管内皮細胞表面よりPF4との親和性が強い
      →ヘパリン存在下では, PF4は血管内皮細胞から血中に移動し, 免疫原性PF4/ヘパリン複合体を形成する.
    • ヘパリンとPF4が1:1-2で存在する時, PF4に構造変化が生じ, 抗原決定基が露出し, marginal zone B cellからHIT抗体が産生される.

    1, HIT抗体+PF4/ヘパリン複合体は血小板膜FcγRⅡA受容体に結合し血小板を活性化させる
    →血小板からプロコアグラント活性に富むマイクロパーティクルが放出される
    *プロコアグラント活性に富むマイクロパーティクル:凝固因子(特に第Ⅹa因子やトロンビン)の活性化する能力を有する膜小胞
    →トロンビンの過剰産生+消耗性血小板減少を起こす

    2, HIT抗体+PF4/ヘパリン複合体は単球のFcγRⅡA受容体や血管内皮細胞に結合することで組織因子の発現量を増加させる
    →トロンビンのさらなる過剰産生を促進する

    3, 別で, HIT抗体はThrombomodulin上でのPF4による活性化ProteinC産生を抑制する.
    →トロンビン産生を助長させる
    ProteinC:ⅧaとⅤa分解を減少させ, トロンビン産生を抑制する

    <知識>

    • 血栓症を伴うHITはHIT-T(HIT with hrombosis)と呼ばれる
    • 好発時期はヘパリン投与後5-14日
    • 死亡率は20%にも及ぶ
    • 未分画ヘパリンによる免疫学的測定法陽性率29.8%に対して,機能的測定法は9.9%,HIT発症は4.8%, HIT-T発症は3.6%だった.
      =HIT抗体陽性であっても, 臨床的にHIT, HIT-Tを起こすのはごく一部.
      (氷山の一角モデル)

    引用:日本血栓止血学会. 血栓止血分野の最新トピックス:プロコアグラント活性に富むマイクロパーティクル. お役立ちシリーズ. 2022年8月号(第19回)

    発症リスク未分画ヘパリン低分子ヘパリンフォンダパリヌクス
    高リスク
    (1%以上)
    心臓手術後
    人工関節置換術後
    受傷外傷患者
    冠動脈疾患
    脳血管疾患
    透析導入期
    中リスク
    (0.1-1%)
    内科患者
    透析維持期
    内科患者
    重症外傷
    人工関節置換術後
    低リスク
    (0.1%未満)
    産科患者産科患者すべての患者

    <症状>

    ■血小板減少症

    • HIT患者の約95%に認める
    • 発症前の30-50%まで低下を認めるが, 20×103/μL未満の高度の減少は少ない.
      *20×103/μL未満になると自発性の出血の可能性が出てくる
      →HITでは出血傾向になるのは稀
    • DICに発展しうることもあるため注意
      *20×103/μL未満, 血栓症, 出血症状を伴ったら注意!!

    ■動静脈血栓症

    • トロンビンの過剰産生が引き金となるため, 静脈血栓症の方は多い.
    • 血液透析などの腎代替療法では, 血液回路内の凝固がHITを疑う所見の一つ

    <分類>

    <診断>

    4Tsスコア

    *自然発症型ではスコアが過小評価されるため注意が必要

    引用:日本血栓止血学会. 血栓止血分野の最新トピックス:プロコアグラント活性に富むマイクロパーティクル. お役立ちシリーズ. 2022年8月号(第19回)

    <治療>

    • ヘパリンの中止
      +アルガトロバン投与, 経口抗凝固薬への切り替えを目指す
      経口抗凝固薬は基本的に3か月程度継続する
      ・DOACへの切り替え方
       アルガトロバン投与後血小板回復後に切り替える
      ・ワーファリン
       DOAC投与できない患者に対して血小板が回復した後切り替える
       PT-INRが安定(2.5以上)するまではアルガトロバンを併用すること!
       PT-INRが2未満になればアルガトロバンを再開する.
      *ワーファリン:
      ・プロテインC・S(抗凝固因子)を先に抑制し、トロンビン生成抑制が遅れるため、初期には凝固亢進状態になる。
      ・プロテインC欠乏による皮膚壊死などを引き起こす.
      ・抗凝固効果は2-3日かけて発現するため急性期には向かない
    • 予防的血小板輸血はしない
      (HIT抗体の産生促進になるため)
      *出血による重篤な転帰をとる可能性がある場合や外科的介入が必要な場合は考慮


    参考文献

    • 日本小児科学会. 小児科診療における指針(2007–2008年版). 日本小児科学会. https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shi-guide07_08.pdf
    • 森下英理子. 出血傾向の鑑別診断. 日本内科学会雑誌. 2020;109(7):1340–1346
    • 日本血栓止血学会. 血栓止血分野の最新トピックス:プロコアグラント活性に富むマイクロパーティクル. お役立ちシリーズ. 2022年8月号(第19回)
  • 採血管について

    採血管について

    血液検査の手技が分かっても採血管についての知識がなくては適切に検査結果を理解することはできません。
    基礎からやっていきましょう。

    種類

    1, 凝固促進剤

    ・シリカゲルの微粒子や珪藻土, トロンビンなど
    ・血清(血液が凝固した血餅を分離した上澄み)を得るために, 凝固反応を終了させる必要がある

    2, ヘパリン

    ・酸素分圧, 二酸化炭素分圧など血液中のガス分析に使用
    ・ヘパリンはアンチトロンビンⅢを促進し, トロンビンを不活性化することで凝固反応を阻止する
    ・陽イオンの濃度に影響を与えない

    3, EDTA塩類

    ・EDTAは様々な電荷の陽イオンと錯体を形成する性質を持っている
    →血液と混和すると凝固反応に必要なCa2+がキレートされ凝固反応を阻害する


    ・EDTAは金属依存性プロテアーゼの活性を抑えるため, ペプチドホルモン(インスリンやGLP-1. PTHなど)の分解を妨げる
    →一部のペプチドホルモン採血にも適している

    <EDTA依存性偽性血小板減少症(EDP)>

    ・EDTA塩の存在下で血小板凝集が生じる現象のこと
    ・GPⅡb/Ⅲaなどの血小板膜上の膜たんぱく質に配位しているCa2+イオンがキレートされることで構造が変化し潜在性抗原が露出する
    →患者の血中の免疫グロブリンがそれに反応して凝集が起こる
    ・悪性腫瘍, 肝疾患, 自己免疫疾患, 抗菌薬投与中などの免疫刺激状態と関連が指摘されているが, 健常者でも認めることがある
    ・対応:

    土屋直道,松尾収二:EDTA依存性偽性血小板減少症における血小板数推移パターンおよび抗凝固剤としての硫酸マグネシウムの有用性.Sysmex Journal Web.2019;20(3):1–9.から引用

    4, クエン酸ナトリウム

    ・血液との割合を正確に分注する必要がある
     ・凝固/線溶系:1:9
     ・赤沈:1:4
    ・EDTAと比べて弱いCa2+キレート作用を有する
    →塩化カルシウム添加により凝固反応を再開させることが可能

    採血管の順序

    ・凝固管:組織液に含まれる組織トロンボプラスチンの混入をさせない
    *PT, APTTは優位差ないが, TATなどを採取する際に影響がある可能性がある
    →1本目を避ける

    検査結果に影響を及ぼしうる要因

    1, 血液成分の生理的変動や食物摂取など

    1-1:日内変動

    1-2:月経変動


    1-3:食事摂取
    →早朝空腹時採血で統一するのが望ましい

    2, 手技

    2-1:体位

    ・立位では重力により下肢の毛細血管内圧が仰臥位に比べ上昇する
    →水や電解質などの低分子物質は血管から組織間質に漏出する
     +循環血漿量が立位は仰臥位に比べて10%低下する
      →蛋白質や脂質などの高分子物質や血球成分は約10%濃縮される
       *座位では約5%
       +循環血液量低下によるレニン,カテコールアミン,アルドステロンの上昇, ANP,BNPの低下などがみられる可能性がある

    (内科医が知っておくべき検査の最新情報;臨床検査の進歩より引用)

    2-2:採血部位

    *pO2, PCO2は中心静脈と末梢静脈でも差が出るため注意!

    2-3:駆血

    ・駆血時間が長引くと, 徐々に末梢の静脈内圧が上昇
    →水, 電解質, グルコースなどの低分子物質が血管外へ漏出
    →高分子物質や血球成分の濃度上昇
    ・特に5分以上の駆血は採血結果に影響を及ぼす
    →1分以内の採血が推奨されている

    (内科医が知っておくべき検査の最新情報;臨床検査の進歩より引用)

    ・クレンチング, 手を強く握る,叩く:血清K濃度の上昇をする報告がある
    *クレンチング:手掌を開閉させて静脈の怒張を促すこと

    2-4:溶血

    原因機序対応
    アルコール綿穿刺時にアルコールが血液中に混入
    *アルコールは赤血球膜を直背う障害する
    十分に乾燥させる
    23Gより細い針や
    直針での採血
    急速な吸引や採血管への分注で血液が泡立つ22G以下の採血針を使用する
    吸引を緩徐に行う
    規定量取らない採血管内に陰圧が残る必要量を採取する

    2-5:分注

    ・採血管内に含まれる凝固促進剤などの採血管添加物が後方針やゴムスリープを介して次の採血管に混入する恐れがある
    →血液の逆流を抑えて分注を行う

    2-6:その他

    ・直射日光:ビリルビンやCK, ビタミンC, 葉酸などが低下する
    ・血糖:全血での採血では血球に含まれる解糖系が進む
       →フッ化ナトリウムなどの解糖阻止剤入りを使う

    参考文献

    ・内科医が知っておくべき検査の最新情報;臨床検査の進歩

    ・土屋直道,松尾収二:EDTA依存性偽性血小板減少症における血小板数推移パターンおよび抗凝固剤としての硫酸マグネシウムの有用性.Sysmex Journal Web.2019;20(3):1–9.

  • サイアザイド系利尿薬

    サイアザイド系利尿薬

    サイアザイド系利尿薬はガイドラインで推奨されていますが、あまり使用経験が少ない薬剤かと思います。
    しかし、サイアザイド系利尿薬はすごく有用な薬剤ですので是非使ってみてください

    知識

    ・2025年ガイドラインから体液貯留患者での使用が積極的使用になった!

    ・浮腫が改善した後の定常状態を維持するために使用

    機序

    ・初期:遠位尿細管のNa/Cl共輸送体を阻害する

     →体液量減少により血圧を下げる

    ・長期:細胞内に取り込まれるNa濃度が低下し, 遠位尿細管に存在するNa+/Ca+交換体が活性化

     →Caが血管側に排出され, 血液中のCa濃度が上昇する

     →細胞膜上のCa感受性K+チャネルが活性化し, K+が細胞外に流出し膜が過分極する

     →細胞外のK+上昇により電位依存型L型Caチャネルの開口抑制

     →血管平滑筋が弛緩する

    ・遠位尿細管(Na7%程度の再吸収しかしない)に作用するため, GFRが低下するとほとんど利尿作用が得られない

     →GFR<30, Cr>2ではループ利尿薬を使うしかない

    ループ利尿薬との違い

    ループ利尿薬はNa+,K+,Cl-共輸送体を阻害することで電気勾配を作るROMKチャネルを間接的に抑制する
    →電気勾配で細胞内に取り込まれていたCa+,Mg+の再吸収を抑制する

    薬剤

    ・サイアザイド系利尿薬(ヒドロクロロチアジド, トリクロルメチアジド)

    ・サイアザイド類似薬(日本ではナトリックスのみ)

    の2種類。

    しかし、使用をお勧めするのはサイアザイド類似薬!!
    理由は2つ

    ・血圧がサイアザイド利尿薬より下がる
    ・心血管イベントや脳卒中の予防エビデンスが豊富

    (1982;122:1010-30)

    (HYVET試験)

    使い方

    ・標準の半量で使う。

    半量で降圧効果が得られており、副作用の発生頻度が低い

    (BMJ. 2003 Jun 28;326(7404):1427)

    副作用

    ・低Na血症

    ・低K血症

    ・高Ca血症

    *骨粗鬆症の予防に使われることもある

  • ARB/ACE-I

    ARB/ACE-I

    🔬 RAA系の進化的背景と基本構造

    • 進化的獲得:海から陸への進化過程で、Na保持と血圧維持のために獲得されたホメオスタシス機構
    • レニン:腎灌流圧低下・尿中Cl低下・交感神経刺激により分泌 → アンジオテンシノーゲンをAng Iに変換
    • ACE:肺血管内皮細胞に存在 → Ang IをAng IIに変換

    この図が最重要!!


    🧬 Angiotensin IIの受容体別作用

    <受容体:AT₁R(主作用)とAT₂R(修復・保護)とAngiotensin (1-7)>

    • AT₁RはAT₂Rの10〜100倍発現
    • 高血圧・糖尿病・慢性炎症でAT₁過剰活性が起こる

    AT₁R:病態促進型

    分類代表的作用臨床的影響
    血管系血管収縮 → 血圧上昇高血圧、動脈硬化
    腎臓Na・水再吸収促進浮腫、体液貯留
    副腎アルドステロン分泌促進Na保持・K排泄
    心血管平滑筋・線維芽細胞増殖心肥大・血管肥厚
    炎症ROS産生(NADPHオキシダーゼ)内皮障害、動脈硬化
    神経ノルアドレナリン遊離促進交感神経亢進

    AT₂R:保護・修復型

    分類代表的作用生理的意義
    血管系血管拡張(NO・ブラジキニン)血圧低下
    細胞増殖抑制・抗線維化組織修復
    酸化ストレス抗酸化作用内皮保護
    神経成長抑制・再生促進神経保護

    Angiotensin (1-7) / Mas受容体軸(研究段階)

    作用領域主な所見
    血管・代謝血管拡張・抗炎症・抗線維化
    抗血栓血小板からNO放出 → 血栓抑制
    心筋保護Ang IIによる酸化ストレス抑制
    代謝インスリン感受性改善・脂質合成抑制
    腎保護炎症・線維化マーカー低下

    💊 ARB薬剤比較(主に肝排泄)

    ・ARBはAT1を選択的に阻害する→AT2の作用を相対的に亢進させる

    薬剤名降圧力半減期特性臨床的利益
    アジルサルタン特に強力約12h非競合・インバースアゴニスト透析可・インスリン抵抗性改善
    オルメサルタン強力約7.5h非競合・インバースアゴニストアルドステロン抑制・即効性
    テルミサルタン中等度約20h非競合型
    PPARγ活性・脂溶性高
    糖代謝改善
    カンデサルタン中等度約20h非競合型
    インバースアゴニスト
    受容体解離遅い
    心不全予後改善・抗血栓作用
    イベルサルタン中等度約13h非競合型
    インバースアゴニスト
    CYP2C9代謝
    相互作用少・エナラプリル同等
    バルサルタンやや弱め約4–6h非競合型
    インバースアゴニスト
    ARNI構成薬
    心不全に有用・AT₁選択性高
    ロサルタン弱め約2–4h競合型尿酸排泄促進・TXA₂抑制・糖尿病性腎症適応
    • インバースアゴニスト:アンジオテンシⅡ非依存性のAT1受容体活性も含めて阻害することができる     
      →臓器保護作用がある
    • PPARγ活性:インスリン感受性や細胞の分化,増殖,炎症,免疫応答に関与
      →臓器保護作用の可能性
    • 低血糖の原因になることもある(アンジオテンシン1-7の相対的作用亢進による)
    • ロサルタン:
      ・弱い尿酸排泄促進作用がある(尿酸再吸収阻害)
       *ユリノームと作用機序は同じ
      ・トロンボキサンA2抑制効果あり
       →アレルギー反応や血小板凝集を抑制 

    💊 ACE-I薬剤比較(腎排泄性)

    ・ACE-IはACEを阻害してアンジオテンシンⅡの産生を抑制する
     +ブラジキニン分解抑制により血管を弛緩させる

    薬剤名降圧力半減期特性臨床的利益
    エナラプリル中等度約14hプロドラッグ心不全・小児適応あり
    イミダプリル中等度約8h空咳やや多め糖尿病性腎症適応
    テモカプリル中等度約22h肝・腎排泄型
    ペリンドプリル強力約57h心血管イベント抑制
    カプトプリル弱め約2h活性型・1日3回急性心筋梗塞後早期投与
    トランドラプリル中等度約30hプロドラッグ左室機能低下例に有効

    ⚠️ ACE-Iの副作用と注意点

    空咳(ブラジキニンの蓄積)

    • 発生率は7.7%-17.5%
    • ブラジキニン蓄積→c-fiberを刺激
      →軸索反射によりサブスタンスP, ニューロキニンAなどが遊離
      →気道局所で増加し咳嗽を起こす
    • 飲み始めた初期-数か月以内に発症
    • 2-3か月で消失(空咳で処方変更は不要)
    • 非喫煙者の女性に多く, 夕方から夜間に多い
    • 高齢者の誤嚥性肺炎予防に使うことがある

    高カリウム血症

    • アルドステロン分泌抑制によりK蓄積
    • カリウム保持性利尿薬と併用で起きやすい
    • 腎疾患(腎炎やネフローゼ症候群)や尿路感染症時の使用で起こりやすい
    • 使用開始後3か月以内が最多

    血管神経性浮腫

    • ブラジキニン蓄積→血管透過性亢進による

    参考文献

    1. 霧島記念病院. 降圧薬の使い分けと注意点. 2023年4月.
      https://kirishima-mc.jp/data/wp-content/uploads/2023/04/4fec1d886fad5de4fc9ef72f0878bec8.pdf
    2. 高の原中央病院. 降圧薬の特徴と使い分け. 2016年9月.
      https://www.takanohara-ch.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/10/di201609.pdf
    3. 辛島裕士. ARB/ACE阻害薬の作用機序と周術期使用に関する考察. 日臨麻会誌. 2020;40(7):634–641.
      https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/40/7/40_634/_pdf
    4. 川口恵一, 佐藤和夫, 田中正敏, 他. ACE阻害薬使用による高カリウム血症・血中カリウム上昇の関連要因の検討. 医薬品安全性学. 2000;15(2):49–58. https://doi.org/10.3999/jjpe.15.2_49
  • Ca拮抗薬

    Ca拮抗薬

    ■長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬

    ●機序

    電位依存性Caチャネルには以下の種類がある:

    L型チャネル

    • 局在:血管平滑筋(末梢血管、脳血管、冠動脈、腎動脈)、洞結節、房室結節
    • 作用
      • 血管平滑筋のL型チャネル阻害 → 血管弛緩 → 末梢血管抵抗↓ → 血圧低下
      • 反射性頻脈による心拍数↑
        ※ジヒドロピリジン系はL型選択性が高く、心筋への直接作用が少ないため反射性頻脈が起こりやすい
      • 洞結節・房室結節での阻害 → 心拍数↓(HR低下)

    T型チャネル

    • 局在:洞結節、腎臓の輸入・輸出細動脈、副腎皮質
    • 作用
      • 洞結節での遮断 → HR低下
      • 腎細動脈の拡張 → 糸球体内圧↓ → 尿蛋白減少 → 腎保護作用
      • 副腎皮質での遮断 → アルドステロン分泌抑制 → 心腎系への負荷軽減

    N型チャネル

    • 局在:交感神経終末、腎臓の輸出細動脈
    • 作用
      • 交感神経終末での遮断 → HR↓、BP↓
        ※反射性頻脈が起こりにくい
      • 腎細動脈の拡張 → 糸球体内圧↓ → 尿蛋白減少 → 腎保護作用

    ●各薬剤の特徴

    アムロジピン

    • 作用発現は緩徐かつ持続的
    • 血管選択性が高い
    • 洞結節などへの作用は弱く、HR低下は起こりにくい

    シルニジピン

    • L型抑制:アムロジピンと同様
    • N型抑制:交感神経抑制 → ストレス時の昇圧を防ぐ
    • 末梢血管・脳血管への選択性が高い

    ニカルジピン(まんべんなく作用)

    <作用>

    • 末梢血管拡張 → 血圧降下
    • 脳血管拡張 → 脳血流↑ → 脳虚血予防に有用
    • 冠血流↑ → 心筋酸素供給↑ → 虚血性心疾患の補助に有用
    • 反射性頻脈による心拍数↑
    • 後負荷↓ → 心拍出量↑
    • 冠血流↑・後負荷↓ → 心筋保護作用
    • 腎血流↑ → Na排泄↑ → 軽度の利尿作用
    • 血管拡張によるせん断応力↓ → NO・PGI₂産生↑ → 血小板活性化抑制

    <使い方>

    • 5A, 50mL(0.1γ=0.6ml/h)組成
      *50kg換算
    投与速度薬効
    0.2-2r冠動脈拡張
    0.6r-0.8r静脈拡張(前負荷軽減)
    3-10r動脈拡張(後負荷軽減)

    ニフェジピン(アダラート)

    • 血管拡張作用が最強 → 高血圧に有用
    • 反射性頻脈をきたしやすく心負荷↑のリスク → 徐放剤が主流

    ベニジピン

    • 血管平滑筋選択性:心筋よりも血管への作用が強く、降圧効果が高い
    • 腎臓選択性:T型遮断 → 腎血流改善・尿蛋白減少
    • 交感神経抑制:N型遮断 → ストレス性高血圧にも有効
    • 冠攣縮性狭心症に有効 → 冠動脈の攣縮抑制 → 予後改善効果あり

    ●非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬

    ジルチアゼム(ヘルベッサー)

    <作用>

    • 全身抵抗血管に対する血管拡張が強い
    • 上室性頻脈性不整脈抑制作用
    • 冠血管拡張作用 → 心筋虚血に有効
    • 心筋保護作用あり

    <使い方>

    • 2V+生食/5%ブドウ糖液50mL(1r=1.5L/h)
      *50kg換算
    投与速度薬効
    0.3-1rspasm予防
    1-5rrate control
    5-15r降圧

    ベラパミル(ワソラン)

    • フェニルアルキルアミル系:心臓選択性が高く、細動脈選択性が弱い
    • PVC、PAF、AFLなどの頻脈性不整脈に適応
    • 徐脈化によるHRコントロール
    • 冠動脈攣縮にも有効
    • ジルチアゼムよりさらに心臓選択性が高く、降圧作用はほぼなくHR↓が主作用

    ■参考文献

    1. 徳山医師会病院 薬剤部. カルシウム拮抗薬の特徴と使い分け.
      http://hospital.tokuyamaishikai.com/wp-content/uploads/2021/11/131e5ace18d4079a3f491b46f5fb63bf.pdf
    2. 山口, 直人. Ca拮抗薬の薬理と臨床応用. 日本臨床麻酔学会誌, 73(1), 12–18.
      https://www.jstage.jst.go.jp/article/numa/73/1/73_12/_pdf
    3. 循環器薬剤研究会. 循環器薬剤ハンドアウト 第3回.
      https://www.eonet.ne.jp/~jyunkankiyakuzai/handout/3.pdf
    4. 東京医科大学八王子医療センター 救命救急センター. 循環作動薬などのγ投与表.
      https://qq8oji.com/pg-report/973

  • 医療用針について

    医療用針について

    【目次】
    ・種類
    ・注射針(ステンレス製)
    ・翼状針
    ・血管留置針
    ・カテラン針
    ・硬膜外麻酔針
    ・スパイナル針
    ・ポート針

    【種類】

    種類特徴/構造主な用途
    注射針
    (ステンレス製)
    一般的なディスポ針
    長さや太さが多様
    静脈注射、筋肉注射、皮下注射など
    翼状針翼状の持ち手付き。静脈採血、点滴
    血管留置針プラスチック製カテーテル付き点滴、Aライン
    カテラン針長めの金属針
    70mm前後
    深部注射や神経ブロック
    硬膜外麻酔針適度なコシと鋭利な刃先を持つ硬膜外麻酔
    スパイナル針刃先が工夫された穿刺用針脊髄くも膜下腔への麻酔、髄液検査
    ポート針
    (ヒューバー針)
    先端が加工されCVポートを傷つけないように設計CVポートに留置

    【注射針(ステンレス製)】

    <使用目的>
    ・動静脈からの採血や薬剤をアンプルやバイアルから吸引、薬剤の注入など幅広い範囲での使用


    ・一般的には直針といわれるもの
    ・シリンジと接続して使用する

    <種類>
    注射針のカラーは針の外径(ゲージ)を識別するためにISO規格で統一されている
    *注意:注射針と末梢血管留置針では色が違う!!

    ゲージ(G)用途
    18Gピンク輸血
    21G深緑RB:筋肉内注射
    SB:静脈内注射
    22G皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射
    23G皮下注射
    26G皮内注射

    <知識>
    ・痛みを軽減させるために刃先に潤滑剤としてシリコン油が塗布されている
    ・針先の加工で違いがある
     ・RB(レギュラーベベル):針先の角度を12度ほどと鋭くした設計。皮下注射に特に用いられる
     ・SB(ショートベベル):針先を18度とやや急勾配で抵抗が大きく切れ味が鈍くしている。それにより血管を過度に傷つける可能性を減らす。

    【翼状針】

    <使用目的>
    ・もともとは新生児用の輸液路として頭皮静脈から薬剤を注入する目的で作られた。
    ・針を固定しやすく静脈点滴や採血、在宅自己注射に使用される。

    <知識>
    ・色は注射針と同じ
    ・一個約20円と注射針(約8円)+シリンジ(約8円)よりやや高価

    【静脈留置針】

    <使用目的>
    ・末梢静脈路留置
    ・中心静脈カテーテルのイントロデューサ
    ・末梢動脈路(Aライン)留置

    <知識>
    ・内針とカテーテルから作られている。
    ・穿刺力が強いほど痛みがつよく、静脈炎のリスクになる
     穿刺力:針の太さや
    ・安全機構付きが今は主流
     →あらかじめ使い方を把握しておくこと
      *メーカーによって仕様が異なる
    ・逆流防止弁:内筒を抜いても血液が外筒の外に漏れない
     *シリンジを押し込めば吸引もできる

    引用:神戸大学医学部附属病院 ICT部門. 『安全マニュアル 第1版』.
    https://www.hosp.kobe-u.ac.jp/ict/PDF/anzenmanual/1super.pdf(2025年10月19日アクセス)
    ・値段は150円-500円と幅がある
     *逆流防止弁や安全機構の有無など
    ・ゲージによって色が分けられている
    *注射針と色が違うので注意!!

    ゲージカテーテル外径
    16G1.7mm灰色
    18G1.3mm深緑
    20G1.1mmピンク
    22G0.9mm濃紺
    24G0.7mm黄色

    <失敗する原因2選>
    ・深く針を入れすぎてしまい、内針が血管の前後壁を突き破ってしまった。
     →数mm単位で静脈留置針を戻し、再び逆血が得られたところでカテーテルを進める

    ・血液の逆流はあるもののカテーテルを血管内へ留置できない
     内針とカテーテルとの距離を考慮できていない
     →逆血を得られてから数mm先進させる必要がある
     *無理に押し込むとカテーテルが血管外で留置される可能性があるためしない。

    【カテラン針】

    <使用目的>
    ・膝蓋腔や肋膜からの採液、膝関節/肘関節への造影剤の注入
    ・体内深部への穿刺や注射

    <構造>
    ・注射針の針の長さ(25mm-32mm)より長いもの(60mmと70mm)

    【硬膜外麻酔針】

    <使用目的>
    ・外科用穿刺針(主に硬膜外麻酔で行います)

    <使い方>
    ・穿刺部を決まる
     ・上腹部手術:Th7/8付近(術野で調整)
     ・下腹部手術:Th8-11(術野で調整)
     ・下肢や無痛分娩L2-5付近
    ・硬膜外針の刃面を患者の頭部に向けて、皮膚から垂直に刺します。
    ・針を進めていくと、黄色靭帯を越える際に抵抗感が増し、その後に抵抗感が消失するポイントで、硬膜外腔に達したことを確認します。
    ・カテーテルを硬膜外針に通して硬膜外腔へ挿入します。
    ・針が正しい位置にあるか、シリンジの抵抗の変化やテストドーズ(少量の薬剤を注入して、くも膜下腔に誤って入っていないか確認する方法)などで確認します。
    ・カテーテルを挿入し終えたら、硬膜外針だけを慎重に抜去します。
    ・カテーテルを皮膚にテープで固定し、感染予防のためにフィルムドレッシング材で保護します。

    <禁忌>
    ・頭蓋内圧亢進→脳幹ヘルニアを起こす可能性がある
    ・協力が得られない場合:正確な穿刺ができない
    相対的禁忌
    ・既存に神経/筋疾患, 糖尿病性末梢神経障害などで下肢に後遺症がある場合:神経損傷に気が付けない
    ・出血傾向

    <合併症>
    ・硬膜外血腫
    ・硬膜外膿瘍
    ・神経障害

    【スパイナル針】

    <使用目的>
    ・脊髄くも膜下麻酔
    ・ルンバール(髄液検査)
    ・髄内薬剤投与

    <使い方>
    ルンバールの手技。

    <基礎知識>
    ・1本200円弱
    ・ヒューバーポイント:先端部が減径加工しており、硬膜損傷を最小限にしている

    【ポート針】

    <使用目的>
    ・CVポートに留置する

    <特徴>
    ・一個40円ほど
    ・針先が特殊加工:先端が側面に来るように少し折り曲げてある
    →セプタム(ポートのゴムの部分)を普通の針では内腔で削ってしまう
     ヒューバー針は側面に内腔があるためセプタムを削らない
    →CVポートを長期間使用できる/薬剤が漏れることがない


    ケモサポート.jp. ヒューバー針について. https://chemo-support.jp/medical-apparatus/huber-needle.html(2025年10月19日アクセス)