医療用針について

【目次】
・種類
・注射針(ステンレス製)
・翼状針
・血管留置針
・カテラン針
・硬膜外麻酔針
・スパイナル針
・ポート針

【種類】

種類特徴/構造主な用途
注射針
(ステンレス製)
一般的なディスポ針
長さや太さが多様
静脈注射、筋肉注射、皮下注射など
翼状針翼状の持ち手付き。静脈採血、点滴
血管留置針プラスチック製カテーテル付き点滴、Aライン
カテラン針長めの金属針
70mm前後
深部注射や神経ブロック
硬膜外麻酔針適度なコシと鋭利な刃先を持つ硬膜外麻酔
スパイナル針刃先が工夫された穿刺用針脊髄くも膜下腔への麻酔、髄液検査
ポート針
(ヒューバー針)
先端が加工されCVポートを傷つけないように設計CVポートに留置

【注射針(ステンレス製)】

<使用目的>
・動静脈からの採血や薬剤をアンプルやバイアルから吸引、薬剤の注入など幅広い範囲での使用


・一般的には直針といわれるもの
・シリンジと接続して使用する

<種類>
注射針のカラーは針の外径(ゲージ)を識別するためにISO規格で統一されている
*注意:注射針と末梢血管留置針では色が違う!!

ゲージ(G)用途
18Gピンク輸血
21G深緑RB:筋肉内注射
SB:静脈内注射
22G皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射
23G皮下注射
26G皮内注射

<知識>
・痛みを軽減させるために刃先に潤滑剤としてシリコン油が塗布されている
・針先の加工で違いがある
 ・RB(レギュラーベベル):針先の角度を12度ほどと鋭くした設計。皮下注射に特に用いられる
 ・SB(ショートベベル):針先を18度とやや急勾配で抵抗が大きく切れ味が鈍くしている。それにより血管を過度に傷つける可能性を減らす。

【翼状針】

<使用目的>
・もともとは新生児用の輸液路として頭皮静脈から薬剤を注入する目的で作られた。
・針を固定しやすく静脈点滴や採血、在宅自己注射に使用される。

<知識>
・色は注射針と同じ
・一個約20円と注射針(約8円)+シリンジ(約8円)よりやや高価

【静脈留置針】

<使用目的>
・末梢静脈路留置
・中心静脈カテーテルのイントロデューサ
・末梢動脈路(Aライン)留置

<知識>
・内針とカテーテルから作られている。
・穿刺力が強いほど痛みがつよく、静脈炎のリスクになる
 穿刺力:針の太さや
・安全機構付きが今は主流
 →あらかじめ使い方を把握しておくこと
  *メーカーによって仕様が異なる
・逆流防止弁:内筒を抜いても血液が外筒の外に漏れない
 *シリンジを押し込めば吸引もできる

引用:神戸大学医学部附属病院 ICT部門. 『安全マニュアル 第1版』.
https://www.hosp.kobe-u.ac.jp/ict/PDF/anzenmanual/1super.pdf(2025年10月19日アクセス)
・値段は150円-500円と幅がある
 *逆流防止弁や安全機構の有無など
・ゲージによって色が分けられている
*注射針と色が違うので注意!!

ゲージカテーテル外径
16G1.7mm灰色
18G1.3mm深緑
20G1.1mmピンク
22G0.9mm濃紺
24G0.7mm黄色

<失敗する原因2選>
・深く針を入れすぎてしまい、内針が血管の前後壁を突き破ってしまった。
 →数mm単位で静脈留置針を戻し、再び逆血が得られたところでカテーテルを進める

・血液の逆流はあるもののカテーテルを血管内へ留置できない
 内針とカテーテルとの距離を考慮できていない
 →逆血を得られてから数mm先進させる必要がある
 *無理に押し込むとカテーテルが血管外で留置される可能性があるためしない。

【カテラン針】

<使用目的>
・膝蓋腔や肋膜からの採液、膝関節/肘関節への造影剤の注入
・体内深部への穿刺や注射

<構造>
・注射針の針の長さ(25mm-32mm)より長いもの(60mmと70mm)

【硬膜外麻酔針】

<使用目的>
・外科用穿刺針(主に硬膜外麻酔で行います)

<使い方>
・穿刺部を決まる
 ・上腹部手術:Th7/8付近(術野で調整)
 ・下腹部手術:Th8-11(術野で調整)
 ・下肢や無痛分娩L2-5付近
・硬膜外針の刃面を患者の頭部に向けて、皮膚から垂直に刺します。
・針を進めていくと、黄色靭帯を越える際に抵抗感が増し、その後に抵抗感が消失するポイントで、硬膜外腔に達したことを確認します。
・カテーテルを硬膜外針に通して硬膜外腔へ挿入します。
・針が正しい位置にあるか、シリンジの抵抗の変化やテストドーズ(少量の薬剤を注入して、くも膜下腔に誤って入っていないか確認する方法)などで確認します。
・カテーテルを挿入し終えたら、硬膜外針だけを慎重に抜去します。
・カテーテルを皮膚にテープで固定し、感染予防のためにフィルムドレッシング材で保護します。

<禁忌>
・頭蓋内圧亢進→脳幹ヘルニアを起こす可能性がある
・協力が得られない場合:正確な穿刺ができない
相対的禁忌
・既存に神経/筋疾患, 糖尿病性末梢神経障害などで下肢に後遺症がある場合:神経損傷に気が付けない
・出血傾向

<合併症>
・硬膜外血腫
・硬膜外膿瘍
・神経障害

【スパイナル針】

<使用目的>
・脊髄くも膜下麻酔
・ルンバール(髄液検査)
・髄内薬剤投与

<使い方>
ルンバールの手技。

<基礎知識>
・1本200円弱
・ヒューバーポイント:先端部が減径加工しており、硬膜損傷を最小限にしている

【ポート針】

<使用目的>
・CVポートに留置する

<特徴>
・一個40円ほど
・針先が特殊加工:先端が側面に来るように少し折り曲げてある
→セプタム(ポートのゴムの部分)を普通の針では内腔で削ってしまう
 ヒューバー針は側面に内腔があるためセプタムを削らない
→CVポートを長期間使用できる/薬剤が漏れることがない


ケモサポート.jp. ヒューバー針について. https://chemo-support.jp/medical-apparatus/huber-needle.html(2025年10月19日アクセス)