■長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬
●機序
電位依存性Caチャネルには以下の種類がある:
L型チャネル
- 局在:血管平滑筋(末梢血管、脳血管、冠動脈、腎動脈)、洞結節、房室結節
- 作用:
- 血管平滑筋のL型チャネル阻害 → 血管弛緩 → 末梢血管抵抗↓ → 血圧低下
- 反射性頻脈による心拍数↑
※ジヒドロピリジン系はL型選択性が高く、心筋への直接作用が少ないため反射性頻脈が起こりやすい - 洞結節・房室結節での阻害 → 心拍数↓(HR低下)
T型チャネル
- 局在:洞結節、腎臓の輸入・輸出細動脈、副腎皮質
- 作用:
- 洞結節での遮断 → HR低下
- 腎細動脈の拡張 → 糸球体内圧↓ → 尿蛋白減少 → 腎保護作用
- 副腎皮質での遮断 → アルドステロン分泌抑制 → 心腎系への負荷軽減
N型チャネル
- 局在:交感神経終末、腎臓の輸出細動脈
- 作用:
- 交感神経終末での遮断 → HR↓、BP↓
※反射性頻脈が起こりにくい - 腎細動脈の拡張 → 糸球体内圧↓ → 尿蛋白減少 → 腎保護作用
- 交感神経終末での遮断 → HR↓、BP↓

●各薬剤の特徴
アムロジピン
- 作用発現は緩徐かつ持続的
- 血管選択性が高い
- 洞結節などへの作用は弱く、HR低下は起こりにくい
シルニジピン
- L型抑制:アムロジピンと同様
- N型抑制:交感神経抑制 → ストレス時の昇圧を防ぐ
- 末梢血管・脳血管への選択性が高い
ニカルジピン(まんべんなく作用)
<作用>
- 末梢血管拡張 → 血圧降下
- 脳血管拡張 → 脳血流↑ → 脳虚血予防に有用
- 冠血流↑ → 心筋酸素供給↑ → 虚血性心疾患の補助に有用
- 反射性頻脈による心拍数↑
- 後負荷↓ → 心拍出量↑
- 冠血流↑・後負荷↓ → 心筋保護作用
- 腎血流↑ → Na排泄↑ → 軽度の利尿作用
- 血管拡張によるせん断応力↓ → NO・PGI₂産生↑ → 血小板活性化抑制
<使い方>
- 5A, 50mL(0.1γ=0.6ml/h)組成
*50kg換算
| 投与速度 | 薬効 |
| 0.2-2r | 冠動脈拡張 |
| 0.6r-0.8r | 静脈拡張(前負荷軽減) |
| 3-10r | 動脈拡張(後負荷軽減) |
ニフェジピン(アダラート)
- 血管拡張作用が最強 → 高血圧に有用
- 反射性頻脈をきたしやすく心負荷↑のリスク → 徐放剤が主流
ベニジピン
- 血管平滑筋選択性:心筋よりも血管への作用が強く、降圧効果が高い
- 腎臓選択性:T型遮断 → 腎血流改善・尿蛋白減少
- 交感神経抑制:N型遮断 → ストレス性高血圧にも有効
- 冠攣縮性狭心症に有効 → 冠動脈の攣縮抑制 → 予後改善効果あり
●非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬
ジルチアゼム(ヘルベッサー)
<作用>
- 全身抵抗血管に対する血管拡張が強い
- 上室性頻脈性不整脈抑制作用
- 冠血管拡張作用 → 心筋虚血に有効
- 心筋保護作用あり
<使い方>
- 2V+生食/5%ブドウ糖液50mL(1r=1.5L/h)
*50kg換算
| 投与速度 | 薬効 |
| 0.3-1r | spasm予防 |
| 1-5r | rate control |
| 5-15r | 降圧 |
ベラパミル(ワソラン)
- フェニルアルキルアミル系:心臓選択性が高く、細動脈選択性が弱い
- PVC、PAF、AFLなどの頻脈性不整脈に適応
- 徐脈化によるHRコントロール
- 冠動脈攣縮にも有効
- ジルチアゼムよりさらに心臓選択性が高く、降圧作用はほぼなくHR↓が主作用
■参考文献
- 徳山医師会病院 薬剤部. カルシウム拮抗薬の特徴と使い分け.
http://hospital.tokuyamaishikai.com/wp-content/uploads/2021/11/131e5ace18d4079a3f491b46f5fb63bf.pdf - 山口, 直人. Ca拮抗薬の薬理と臨床応用. 日本臨床麻酔学会誌, 73(1), 12–18.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/numa/73/1/73_12/_pdf - 循環器薬剤研究会. 循環器薬剤ハンドアウト 第3回.
https://www.eonet.ne.jp/~jyunkankiyakuzai/handout/3.pdf - 東京医科大学八王子医療センター 救命救急センター. 循環作動薬などのγ投与表.
https://qq8oji.com/pg-report/973
